【オーバーニュ(南仏マルセイユ近郊)=島崎雅夫】イラクで武装勢力に拘束されたとみられる斎藤昭彦さん(44)は昨年末にフランス外国人部隊を除隊するまで約5年半、オーバーニュの同部隊司令部で勤務したが、隊員の規律監視にあたる部門でも活躍したことが明らかになった。
数々の実戦を経験したことと合わせ、司令部での勤務が英警備会社への転身につながったようだ。
マルセイユから東に約20キロ。高速道路沿いに仏外国人部隊司令部がある。
斎藤さんは1999年4月から司令部内の宿舎に住み、戦死兵士の追悼記念碑をはさんで反対側にある管理棟で働いた。堪能な語学力と誰にも慕われる人柄で人事採用に携わる一方、隊員の規律監視にあたった。
この部門は隊員の犯罪や不祥事の摘発にあたる軍警察と対を成す組織で、隊員の規律を維持・監視するとともに、隊員が犯罪などを起こした場合はその処理にあたる。各連隊にある同様の組織の統括もする。
斎藤さんは83年6月の入隊以来、市街戦や南米ギアナでのジャングル戦などで活躍。こうした豊富な経験に管理部門の仕事が加わったことで、「総合力を備えているとして英警備会社に評価された」(斎藤さんの上司だったラスクル少佐)とみられる。
一方、斎藤さんは、除隊後に備えて仏、英、韓国語のほか、中国語やイタリア語、ギリシャ語など十数か国の言語を勉強していた。「今年2月、斎藤さんに会った時、イラクの国内状況を話していたが、まさかイラクで警備にあたっているとは」。マルセイユ市内の海岸に近い大通りに斎藤さんのアパートはあるが、その近所の女性はそう言って驚いた。
ラスクル少佐によると、斎藤さんは昨年末に同部隊を除隊する際、日本に帰国し、できたら結婚したいと言っていた。
(2005/5/16/00:46 読売新聞 無断転載禁止)